ASD支援について(アメリカ研修①)
【自閉症スペクトラム症について支援技術をコンテニュー!】
~生きづらい理由が分かれば対処もできる自閉症スペクトラム(前編)~
そもそも自閉症スペクトラム症の方には、とんでもない才能をお持ちの方が本当にたくさんいらっしゃいます。まさに天才かと思わず感心してしまうこともしばしばです。
その上で、日常生活で障壁となるような特性もあるのは事実です。
逆に言うと「どういう特性を持っていて、どういう時に障壁になるか」を分かっていれば
それに対して、どのように関わっていくのがベターなのかが見えてきます。
全てが当てはまるわけではないということを踏まえた上で、
ASDの方の日常生活で支障をきたしやすい特性として挙げられることに、
・聴覚よりも視覚からの情報を理解しやすい。
・抽象的な表現が苦手。
・こだわりが強い。
・隠れた意図を読み解くのが苦手。
・突然声を上げたりすることがあるが、ご本人が「本当は声を出したくない」と思っていても出さざるをえない。
などがあります。
それらの特徴から、「写真やイラストを使って視覚的に伝えたいことを明確に提示する」仕組みを作ることが有効であることがわかります。
それらの仕組みは構造化支援(ストラクチャー)と呼ばれ、なかでも特に有効だとされているものにTEACCHプログラムがあります。
日本でも強度行動障害支援者研修などでストラクチャーという言葉こそ使わないまでも、視覚的支援を取り入れた内容が現在行われています。
そんなストラクチャーの最先端TEACCHプログラムを学ぶため、私もアメリカはノースカロライナTEACCHセンターにおじゃましたことがあります。
同センターでTEACCHプログラムのロジックや支援方法を学びASDの当事者の方との会話の中で、このプログラムのすばらしさを肌で感じることができました。
併せて、アメリカの施設やグループホームなどでどのように構造化支援が行われているかを視察してまいりました。
当たり前のように視覚的な構造化がなされている現場を目のあたりにして、日本におけるASD支援にも早く浸透させていきたいという想いに駆られたことを憶えています。
現場の支援者はどうしても、その施設や事業所の「普通」の中で習得した技術に頼りがちな傾向があるように思います。しかし、その普通は狭い範囲での普通であって、必ずしも適切な支援であるとは限りません。
現場で培った技術、相手を思いやる心、そして科学的根拠に基づいた支援技術が合わさってこそ、初めてよい支援が可能になります。
もしあなたが目の前のASDの方に対しての支援に行き詰っているとしたら、そもそもASDとは何か、どんな思いで生活していて、どういう特性があって、それに対して有効な支援方法はなにかをしっかりと学んでいくことが重要です。
後編では、実際に私がアメリカで体験した『疑似ASD体験』について、グループホームでのストラクチャーなどについて触れていきたいと思います。